ミール

Mir　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廉価版のゾルキー4

　ソビエトカメラにはまってしまいました。前回のゾルキーに引き続いて購入しました。ゾルキー1と比べるとかなり大柄なカメラです。このカメラはゾルキー４の廉価版です。ゾルキー４との違いは1/15から下のスローシャッターが省略されている点です。私はスローなど使ったことがありませんのでこちらで十分です。スローガバナーがない分故障する可能性も低いわけです。このカメラは生産されたのがわずか３年間だけだったため、生産台数が１5万6000台程とかなり少ない部類に入るようです。程度のよい物は特に希少だということです。私のはジャンク扱い（レストア記事はここ）ですからこの部類には入らないでしょうが、日本では台数が少ない割りにミールのプライスにそれが反映するということはないようです（笑）。そうでもないのかな？

　使い心地については「ゴリゴリ」などと形容されることが多いソビエトカメラです。そもそも１台しか手元になくて、しかもきちんと整備されていないカメラをもって「ソビエト製のカメラは・・ウンヌン」などと能書きをたれるのは不遜というものでしょう。私の手元のソビエト製レンジファインダーカメラは３台ありますが、フェド2などはたいへん滑らかな使い心地です。ゾルキー１も最近油がなじんできたのかかなりストレスなく使える状態になりました。ド素人がちょいと油をつけただけで使い心地がこれだけ変わるのですからきちんと整備され調整された個体ならどれほどすばらしいか！想像に難くありません。さて、ではこのミールはどうかと言うと、とてもゴリゴリしています（爆）。３台の中で一番巻き上げが重い上に巻き上げにくいノブの配置であるためなかな使いにくいですね。たった３台でもこれだけ違いますから”ソビエト製”というくくりで評価するのはちょっと可愛そうです。

　ソビエトカメラについてもうひとつ言うなら「ライカと比べるのはやめてくれ！」ということです。確かにこれらのカメラはライカを手本に作られているのは事実です。しかし、お金持ち相手に贅沢をきわめて作ったカメラと国営企業で国策的に作ったカメラでは撮影という本質的な機能以外の部分に違いが出るのは当然でしょう。製造後の扱いもライカは大事に整備して使われているでしょうし、ゾルキーは実用品として使い倒されて整備などされていないものが多いでしょうから、その違いはいよいよ大きくなってきます。同じ形だからといって同列で比べるのはや的外れな気がします。

　さて、ミールですがゾルキー１と比べるとかなり合理化？されています。段付きだった軍艦部分は真ッ平らになり、おしゃれだったファインダー窓の丸いリングは無くなって愛想の無い四角い窓になってしまいました。唯一、おしゃれなのは”мир”の彫りこまれたロゴでしょうか？内部の作りはゾルキー１とほとんど変わりません。巻上げが難いこと以外は裏蓋が外れるのでフィルムも入れやすいし、ピント調整などもやりやすいカメラだと思います。ライカが最後まで底蓋にこだわった理由は分かりませんが、使いやすさという点ではこちらに軍配が上がるでしょう。

注意）私がオークションで購入したソビエトカメラはいずれも大なり小なり自分で調整しなければいけない不具合がありました。ジャンク扱いだから当然と言えば当然ですが、50年近く昔のものでもあり、自分で調整する気がない方は信頼できるショップで調整されたものを購入することをお勧めします。ファンカメの値段など見るとレンズ付きで調整済みでこの値段なら安いと思います。