コダックモーターマチック35

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゼンマイカメラは面白くて難しい

　コダックモーターマチックはアメリカのゼンマイカメラです。クラシックカメラの興味を持ち始めたころにカメラ屋のショーウインドウで見てからいつかほしいな！と思っていたのでした。オークションにたまに出品されるのですが高いので見送っていました。今回、ジャンクですが大変安価に入手できました。

①メーター窓が曇っていて見えない
②マニュアル切り替えのノブの空回り
③ゼンマイ不動
④絞りとシャッターの粘り

　まず、メーターの窓ですがこんな有様でした。

曇っていてまったく針が見えません。矢頭の部分のマイナスねじを2本外すとここの部分が外れましたので、レンズクリーナーで清掃しました。内部の針が見えるようになりました。針はＹ字上に枝分かれしています。セレンに光を当てると針は元気に振れだしました。セレンは生きています！

　次にファインダ下のノブの空回りの問題です。ここを点検するにはまず軍艦を外す必要があります。巻き戻しノブはお約束どおりにはずれましたが、国産カメラのようなねじが外にまったくありません。フィルム室を調べると2本のねじでフィルム室側から止めているようです。ドライバーが斜めにしか入らない場所です。きっと専用の工具で組み立てているんでしょうね。さいわい固着していなかったので、頭をちょっとなめただけで外せました。

	黄色の矢頭の所にねじがある。これを外すのだがドライバーが斜めにしか入らない。特に右側は深いところにあり頭をなめてしまった。￥100ショップで買った精密ドライバーを直角に曲げたものでしめこんだけど・・狭くって一度に1/3回転くらいしかできない（泣）。
	軍艦を外したところ。ファインダ下「マニュアル切り替えノブ」を回すと緑の矢印のついた針が回転するのだが、写真中央の黒い部分の回転軸が少し粘っていた。この部分を台座から外して清掃と注油を行ったところ改善した。

　結局、ノブに連結した部分の回転軸粘りでしたので、ここを清掃・注油して直すことができました。セレンは思ったよりずっと小さくて，まわりに「回り灯篭」のように金属の筒がかぶっています．灯篭にはきれこみが入っていてセレンにあたる光の量を調節しています，そして感度設定つまみがこの灯篭につながっているのでした．なかなか凝った作りです．

　さてさて、問題のゼンマイ部分です。巻き上げノブのカに目を外すと下のような仕組みが出てきます。三脚穴の脇と巻き上げの部の脇にネジがあり、これら2本を外すとそこ蓋がどっかり外れます。ばねが飛び出してきますから注意です。このそこ蓋の裏にゼンマイユニットがありまので、ゼンマイユニットを外します。

　ゼンマイ部分をいじっていたら、ゼンマイがびょーんと飛び出してきました。絶句！！いろいろやっても戻らない。

ネットで見つけたちょっと違ういタイプ	私のはこんなふう
	ゼンマイが飛び出した！！右側がゼンマイのケース。これだけのゼンマイをケースに戻すのはなかなか大変。ほとんどここで挫折しかけてしましました。私にはどうしても戻せません。わらにもすがる思いで「ゼンマイ」でネットを検索し、時計修理のＨＰで教えていただきました。外側から入れるとうまくいきました。
	ケースに入ったもののゼンマイの中心軸から板バネが外れてしまいます。軸の突起に板バネの溝が引っかかるようにできているのですが？これも教えていただきました（座右の銘は他力本願）。軸に対し「ぴったり」密着していれば外れないそうです。言うのは簡単だけど、実際は微妙で大変な作業ですね。

　さて、最後の問題です。絞りが粘っていそうです。前から攻めることにしました。前だまを外すと距離計の回転をファインダーの表示に伝えるアームとリングがあります。ところがこのアームの外し方がわかりません。結局中玉？を取り出して清掃し、絞りを前面からジッポーオイルで清掃するところまでしかできませんでした。これでいったん組みなおしましたがどうも不調です。シャッターボタンの戻りが悪い、シャッターが切れなくなる、などのわけのわからない症状が出現します。ところが調整用のフィルムを入れてシャッターを切るとまったく問題なく作動します。どういう仕組みになっているのかわかりませんが、直っているようです。リコーオートハーフなどフィルムを入れないとシャッターが切れないフィルムというのはありますが・・・？

　今回のレストアはこれでいったん終了として、試写をしてみましたが、問題なく写真が撮れました。どうもここを見るとシャッターボタンを戻したりするのにもフィルムが入っていることが必要なカメラのようです。